近年、サードパーティcookieの廃止が取りざたされています。
身近な動向として、Cookieへの同意を求めるポップアップが、最近やたらと増えています。
Cookieはそもそもインターネットの利便性を支えるものです。
ただ、この利便性はトラッキングの上に成り立つものです。
そのため、どうしても個人情報のセキュリティが問題になります。
今回は、トラッキングの意味や、サードパーティCookie(クッキー)の危険性について理解したいと思います。
トラッキングの意味
トラッキングとは、Webサイトの運営者や第三者が、利用者のサイト閲覧状況を追跡し分析することを指します。
トラッキング(Tracking)は、その言葉の意味が示すとおり「追跡」です。
トラッキングという言葉の使われ方は、業界によって違うこともありますが、もとの意味合いは同じです。
Webサイトの運営者や第三者がトラッキングする目的は、マーケティングになります。
どう見ても自分たちの商売につなげる目的ですね。
利用者の利便性に寄与するという心地好い言い方もできますが、やはり追跡するなんていうのはいろいろと問題が生じます。
トラッキングの利用
トラッキングによって、消費者行動の情報は全て捕捉され、Webサイトの運営者は分析し、サイトを改善するなどマーケティングに利用します。
トラッキングされる情報は、閲覧したサイトや広告、購入した商品、訪問元のサイトなどです。
具体例としては、オンラインショップ(ECサイト)があります。
オンラインショップでは、顧客データを管理し、収集した情報を使ってキャンペーンを決めたり広告の配信を行ないます。
広告主もトラッキング情報を利用します。
利用者の関心を分析し、興味を持ちそうな関連性のある広告を表示させます。
また、アクセス解析も行ないます。
Webサイトを見に来た利用者がたどった訪問ページ数や滞在時間などが収集されます。
そうした細かな情報を得ることで、運営者は利用者の商品やサービスへの興味を把握します。
さらに、トラッキング情報はWebサイトの制作者にも利用されます。
利用者の行動に合わせて、Webサイトの中身や配置、見せ方を変えていきます。
トラッキングにおけるサードパーティCookie(クッキー)の危険性
トラッキングで理解しておきたいのは、Cookie(クッキー)です。
Cookieとは、WEBサイトに入力したIDなどの情報や閲覧内容がテキスト化されたものです。
トラッキングを行うには、追跡するデータが必要です。
もともとCookieは、Webサイトの閲覧を便利にする仕組みですが、このCookieがトラッキングに利用されているのです。
なお、Cookieの解説は別の記事にまとめています。
以下を参照してください。
Cookie(クッキー)とは?Webサイトの閲覧を便利にする仕組みを解説
Cookieは、発行元の違いにより2種類に分けられます。
一方は、ファーストパーティーCookieと呼ばれ、利用者が閲覧したWebサイトのサーバが作ったものを指します。
サイト運営者のサーバで作られるCookieです。
リンク先の記事では、こちらのCookieについて解説しています。
もう一方は、サードパーティCookieと呼ばれ、利用者が閲覧したWebサイトとは違うサイトのサーバが作ったものを指します。
サイト運営者以外の事業者(広告主)のサーバで作られるCookieです。
このサードパーティCookieが危険性をはらんでいます。
閲覧サイトに貼られている広告をイメージすると分かり易いですが、サイトに寄生しているサイトといった感じで、「ヤバい」と言われれば「たぶんそうだろう」と直感的にも分かります。
追跡型広告は、サードパーティCookieを利用し、利用者を判別します。
そしてその利用者のWebサイト上の閲覧行動から、利用者の属性、興味や関心のある広告を次々に表示します。
サードパーティCookieは、サイトを横断したトラッキングをします。
利用者の、あるWebサイトへの閲覧行動が、全く別のサイトを初めて見たときに利用されていて、見たことのある広告がどんどん表示されます。
このような広告を「ストーカー広告」なんて言うそうです。
このような広告手法は、利用の仕方によっては便利と感じることもありますが、気持ち悪さもあります。
近年では、過度な広告表示に迷惑することも増えています。
広告がグーっと拡大したり、いつまでも消えずに画面を占有したり、迷惑な面が多いと思います。
勝手にCookieが作られ情報を吸い出されることは、個人情報保護の観点でも問題です。
なにより不安なのはセキュリティリスクです。
Cookieは、それ単体では特定の個人を識別することはできません。
Cookieのデータが、事業者(広告主)から第三者に提供された場合を考えてみます。
仮に提供先である第三者が、既に利用者の他の個人情報を持っているとします。
そこには、顧客である利用者のIDが存在します。
個人が特定できないCookieのデータと提供先の顧客データが照合された結果、Cookieデータの個人特定ができることになります。
つまり、Cookieデータのみでは特定の個人を識別できなくても、顧客データなどの他の情報と照合することで、容易に特定の個人を識別できてしまいます。
最近は個人情報の流出が後を絶たず、セキュリティが心配です。
Cookieはインターネットの普及の頃からあるので、今に始まったことではありません。
ただ、サードパーティCookieを利用した過度な広告手法には、より危険性が高いのも事実でしょう。
様々な手法を駆使し、今や弊害の方が大きくなった広告はリスクが高くなります。
おわりに
インターネットの世界におけるトラッキングについて、理解が進んだのではないでしょうか。
また、サードパーティCookieが注目されている理由も分かったと思います。
閲覧情報が勝手に使われていることに、行政の目も厳しくなってきています。
Cookieが個人情報に該当するかは、国により異なりますが、海外では個人情報に該当するとしている場合もあります。
全体的に見ると、Cookieデータの利用を規制する動きが活発化しています。
国内でも、2022年4月に改正された個人情報保護法では、Cookieは個人関連情報の位置づけです。
この個人関連情報を第三者に提供し、情報の紐づけを行ない個人を特定できる場合は、Cookie取得の同意を得る必要があります。
Cookieを取得する際に同意が必要とはなっていませんが、先行実施のようなかたちで、Cookieへの同意を求めるポップアップが増えているわけです。
以上、トラッキングの意味とサードパーティCookie(クッキー)の危険性を紹介しました。
今回の内容はここまでです。
この記事が参考になれば幸いです。