「もはや時代遅れ?」キャリアメールとは何だったのか?

運用

キャリアメールはガラケー時代からあるので使い慣れた方は多く、止め難いと思います。

携帯の通信手段がキャリアメールしかなかった時代は便利でした。
ですが今の時代、キャリアメールは役割を終えたと言えます。

代わりとしてはフリーメールになりますが、以前のものはセキュリティに不安があったりして、全てを切り変えるのはためらわれます。
ただ、キャリアメール自体は消えてゆく運命にあることは否めません。

今回は、そんなキャリアメールとは何かについてまとめます。

SMS(ショートメッセッージサービス)の未熟

携帯電話は電話番号でメッセージを送受信するSMS(ショートメッセッージサービス)が実装されるのが本来の在り方と言えます。
しかし日本では長らく、異なる携帯通信事業者間でのSMS交換ができませんでした。
SMSの最大の長所であるはずの、電話番号のみで誰とでもテキスト交換をするということができないままでした。

そのため、その機能の代わりとしてキャリアメールが使われるようになったと言えます。
そのキャリアメールは、特徴のひとつに携帯通信事業者所有のドメインをメールアドレスに持つことがあげられます。

日本だけのキャリアメールがガラパゴス化を進めた

キャリアメールが生まれたことは、日本でSMSの発達が遅れたことと関係があります。

キャリアメールは、日本独自の携帯電話向けサービスとして生まれました。
日本独自であることは、その端末がガラパゴスケータイと呼ばれる要因にもなりました。

キャリアメールの本質は「携帯通信事業者が提供するメールサービス」です。
アドレスには当然ながら携帯通信事業者やサービス名が入ります。
※「@」マーク以降のドメインに携帯通信事業者やサービス名が入る
※利用者がメルアドの所有者ではないことを意味している

NTTドコモが1999年2月にiモードメールを開始して以降、他の事業者も独自のサービス名で電子メールサービスの提供を開始しました。
これらのキャリアメールサービスは、日本で「携帯メール」として確立していきます。

2001年にドコモが3GサービスFOMA(W-CDMA)を開始すると、2002年にKDDIグループとボーダフォンも3Gサービスを開始しました。
3Gサービスが始まり海外とのSMS交換は改善されましたが、国内では異なる携帯通信事業者間でのSMS交換ができない状況が続きました。
まだ携帯通信事業者ごとに、通信規格や文字メッセージサービスや携帯電話端末の仕様が異なるままでした。

一方、海外では携帯電話番号で送受信できるSMSが存在しました。

日本で、異なる携帯通信事業者間でのSMS交換ができない、携帯通信事業者が提供するメールサービスしか使えないといったことは、携帯電話の普及期において、携帯通信事業者による顧客の囲い込みの思惑もあったようです。
ここは、日本の携帯通信事業者にありがちな構図と言えます。

そうして時は流れ、一部の例外はあるものの、2011年7月に国内の携帯通信事業者のSMS相互接続が実施されるまで、国内では異なる携帯通信事業者間でのSMS交換ができませんでした。

ずるずると13年もの間、日本は電話番号だけでSMS交換がまともに出来ないSMSの未発達国だったのです。

ガラケーから引き続き使っていたキャリアメール

2022年時点で20代後半以降の世代は、ガラケーが最初の通信端末ではないでしょうか。
そして初めて使った連絡手段は「キャリアメール」だと思います。
なにしろ携帯電話を契約すれば必ずキャリアメールアドレスがもらえるし使い方も簡単です。

その後、2007年のiPhoneと 2008年のAndroidの登場からスマートフォンの時代が幕開けします。
スマホ使用者が増え、ガラケー使用者は減っていきます。
通信環境が変化してフリーメールも普及していきます。

2011年7月に、当時の携帯通信事業者5社で、それぞれの提供しているSMSサービスについて相互接続が実現しました。
ようやく異なる携帯通信事業者間のSMS接続が始まったのです。
なんと、海外に遅れること10年以上の遅れです。

同じころ、2011年6月にLINEが登場しますが、3年あまりでLINEの利用者が約半数を超えてきます。
相互接続が実現したSMSも広がっていきます。

スマホの利用者が増え、ガラケーの利用者は減り、キャリアメールを使う人も減っていきました。

でもキャリアメールを使っている人は、まだまだいると思います。
同じ携帯通信事業者のままガラケーからスマホへ変えた人は、引き続きキャリアメールを使っているでしょう。

キャリアメールが通信事業者による顧客の囲い込みにつながった

時代を築いたキャリアメールですが、他の事業者への移行は全く考えられていません。
携帯通信事業者を変えると、そのキャリアメールアドレスは使えなくなるからです。
※最近、MNP(モバイル・ナンバー・ポータビリティ)ができ、携帯通信事業者を変更してもそのままキャリアメールアドレスを使えるサービスができたが、有料であることがハードル

そもそも利用者がキャリアメールアドレスの所有者でないことが理由としてあげられます。
※正確にはドメインがキャリアの所有ということ
※ドメインを借りてメルアドができているのがキャリアメール

メールアドレスは利用者の住所にあたるものですが、キャリアメールアドレスは賃貸の住所だったわけです。

携帯通信事業者がキャリアメールを導入した時点で、先々のネックとなることは想定できたはずです。
こうした利用者の便宜に配慮が足らない姿勢は、そのまま業界の未成熟さを現していたと言えるでしょう。

顧客が自由にサービスを選択できる流動性を確保することが、業界全体の発展を促します。
そう考えると、流動性の無いキャリアメールの生き残る道はないのが道理です。

おわりに

キャリアメールとは何かについてまとめはじめたら、思い返すことが多く感慨深いですね。
なにしろ、携帯を初めて持ったときは電話しかできませんでした。

新たに調べたこともあり、記憶の整理もつきました。
しかし、ただ思うのは「日本は遅れていたな」ということです。

キャリアメールの生まれた背景には、SMSの未熟もあったと思います。
それはそのまま携帯通信業界の未熟でしょうか。
総務省に指導されないと改善されない企業体質や業界全体も気になるところです。

細かいことが多くあるので、まとめ切れない部分も残りました。

それでも、「もはや時代遅れ?」キャリアメールとは何だったのか?
についての全体像はつかめたのではないでしょうか。

この記事が参考になれば幸いです。

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